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文献紹介:2017年
<2017年12月 文献紹介>
病院・ホスピス・地域における専門的緩和ケアサービスが進行性で治癒不可能な疾患を有する成人患者のQOLに及ぼす効果:システマティックレビューとメタアナリシス
Jan Gaertner et al: Effect of specialist palliative care services on quality of life in adults with advanced incurable illness in hospital, hospice, or community settings: systematic review and meta-analysis. BMJ 2017;358:j2925 doi: 10.1136/bmj.j2925
【目的】進行性疾患を有する患者に対して専門的緩和ケアがQOLと追加的アウトカムに及ぼす効果を調査する。
【方法】メタ解析をともなうシステマティックレビュー。
【研究選択のための適格基準】病院・ホスピス・地域における入院・外来の成人患者を対象とした無作為比較試験(RCT)。 専門的緩和ケアの最低基準は、多職種によるチームアプローチとした。 2人の査読者がそれぞれ独立に、データをスクリーニング・抽出し、バイアスのリスク(Cochrane risk of bias tool)を調べ、エビデンスの質(GRADE tool)を評価した。。
【データ合成】主要アウトカムはHedgeのgを標準平均差(standardised mean difference (SMD))として用いたQOLとメタ解析におけるランダム効果モデルであった。 これに加えて、QOL分析のプール化SMDは、QLQ-C30 (点数は0-100に分布、高い数値がよいQOLを示す。MCIDは8.1)のglobal health/QoL 尺度( それぞれ、アイテム29と30)で再表現した。
【結果】3967 論文中、12 論文が対象となった (10論文がRCTで、2454 人の患者がランダム化され、そのうちの72% (n=1766) ががんであった)。 全般的に、専門的緩和ケアの効果は小さなものであった(SMD 0.16, 95% 信頼区間0.01 ~ 0.31; QLQ-C30 global health/QoL は、4.1,信頼区間0.3~ 8.2; n=1218, 6研究) 。 感度分析では、SMD が 0.57 (−0.02 ~1.15; global health/QoL は14.6, −0.5~ 29.4; n=1385, 7研究).であった。 がん患者では、効果はそれほどなかった(0.20, 0.01~0.38; global health/QoLは5.1, 0.3 ~ 9.7; n=828,5研究)が 、早期に専門的緩和ケアを受けた患者には効果が認められた (0.33, 0.05 ~ 0.61, global health/QoL は、8.5, 1.3 から 15.6; n=388,2研究)。 疼痛および副次的アウトカムの結果は、決定的なものはなかった。 盲検化の欠如といった方法論上の問題により、エビデンスの強さが減じていた。
【結論】専門的緩和ケアはQOLに関して僅かな効果しか示さなかったが、がん患者で早期にそれを受けた人には効果があることは強調して良いと思われる。もし、専門的緩和ケアが早期に提供され、もし、患者の満たされないニーズがスクリーニングによって同定できるなら、それは最も効果的になる可能性がある。
コメント
進行性非治癒性(がんを含む)疾患患者のQOLに及ぼす効果に関して、Specialist Palliative Care(SPC)の Standard Care(StC)に対する優位性を明らかにする目的で行われたシステマティックレビューとメタ解析の論文である。 なお、Hedgeのgは、群間差についての効果量の一つであり、平均値の差をプールされた不偏分散の平方根で割って標準化したものである。 効果量を扱う場合は、Cohenのdよりもこちらのほうが推奨されるとのことである。 ちなみにSMDが0.2以上0.5未満→効果小, 0.5以上0.8未満→効果中, 0.8以上→効果大とみなしている。 また、EORTC-C30のアイテム29「この一週間のあなたの健康状態は全体としてどの程度だったでしょうか(1-7)( Global Health)」を30「この一週間あなたの全体的な生活内容は質的にどの程度だったでしょうか(1-7)(QoL)」で割ったもの、つまりGlobal Health/QoLで再表現しているのは、Cochrane Handbook (SMD×standard deviationreference=value on original scale)でなじみの方法とのことである。 また、その MCIDを8.1としたのは、Osobaの研究に基づいている。
結果は期待外れというか、QOLに及ぼすSPCの効果はそれほど大きくなかった。 がん患者に限ってもその効果は僅かであった。 ただし、早期介入を行うと効果は増大していた。 これは、ASCOがSPCをできるだけ早期から行うべきと言う推奨と一致した結果であった。 本研究では、SPCを2人以上の多職種でのアプローチであると厳格に定義したことも、効果が大きく出なかったことに影響していると思われた。 QOLが改善したとするMaltoniらの論文と生存期間が延びたとするBakitasらの論文が、1人の専門家による介入であると言うことで除外されているからである。
メタ解析つきのシステマティックレビューというエビデンスレベルの最も高い論文で、専門的緩和ケアをがん患者の早期から、そのニーズに応じて導入することで、患者のQOLを改善できる可能生が示唆されたことは間違いない。(SS)
<2017年11月 文献紹介>
小児がん患者の精神症状および健康関連クオリティ・オブ・ライフにおけるメイク・ア・ウィシュ介入の効果:ランダム化比較試験
Shoshani A, et al. The effects of the Make a Wish intervention on psychiatric symptoms and health-related quality of life of children with cancer: a randomised controlled trial. Qual Life Res. 2016 May;25(5):1209-18. doi: 10.1007/s11136-015-1148-7.
【目的】生命を脅かす病気の小児は、侵襲性がある医学的処置を受けるが、これは不安や苦痛を引き起こすことがある。 しかし、疾患の急性期にメンタルヘルスの症状を抑えてレジリエンスを高める介入として検証されて、有効と認められたものはほとんどない。 本研究は、生命を脅かすがんに罹患した小児へのメイク・ア・ウィシュ(難病の子どもの願いをかなえる)介入の有効性を評価することを目的とした。
【方法】研究デザインは、並行群間による待機リスト対照試験である。 生命を脅かすがんの初回診断時に5~12歳であった小児66名を対象として、メイク・ア・ウイシュ介入群(n = 32)と待機リスト対照群(n = 34)にランダム化割付けをした。 介入前後に、精神医学的症状、健康関連症状、肯定的情緒および否定的情緒、希望、楽観主義についての測定をした。 ベースラインでのデータ収集後、小児と面談し、彼らが実現したかった本心からの願いを挙げてもらった。 これらの願いは、願いがかなうという期待と興奮が刺激となることから、ベースラインでのデータ収集の5~6ヵ月後にかなうようにした。 介入後の評価は、願いがかなった5週間後(ベースラインでのデータ収集の約7ヵ月後)とした。
【結果】介入群の小児は、全般的苦痛、抑うつ、不安症状が有意に低下して、健康関連QOL、希望、肯定的情緒が向上した。 対照群では、肯定的情緒が低下し、その他の測定値における有意な変化がみられなかった。
コメント
この研究は、2017年10月にPhiladelphiaにて開催されたISOQOL(国際QOL研究学会)学術集会で、最優秀賞を受賞した論文である。 小児がん患者を対象としたQOL評価は、Pediatric Quality of Life Inventory (PedsQL™4.0)(Varni, Medical Care, 2001)を使用している。 RCTとしては、concealmentの確保の問題などの限界も大きい。 しかし、厳しい治療を受けている小児を対象に、彼らの「警官になりたい」「憧れの運動選手に会いたい」などの願いを周囲の関係者がかなえるよう協働して、その実現が小児に与える影響を検証した研究が、実臨床へのQOL評価研究の意義として認められたものであろうと考える。(MK)
<2017年10月 文献紹介>
頭頚部がんと甲状腺がんの無作為化比較試験における患者報告アウトカム:報告の完璧さと解釈に関するシステマティック・レビュー
Mercieca-Bebber RL, et al. Patient-reported outcomes in head and neck and thyroid cancer randomized controlled trials: A systematic review of completeness of reporting and impact on interpretation. Eur J Cancer. 2016;56:144-161.
【目的】頭頚部がんと甲状腺がんの無作為化比較試験において、患者報告アウトカム(PRO)に関する報告の完璧さを検討し、使用されているPROの評価ツールを明らかにすることを目的とした。
【方法】PROをエンドポイントとする、頭頚部がんと甲状腺がんの無作為化比較試験(2004年1月~2015年6月)を対象に、システマティック・レビューを行った。 2名の研究者が独立して作業を行った。国際QOL研究学会における報告基準の遵守、ならびに仮説と使用されているPRO評価ツールの適合について、各々が評価を行った。 データは”Patient-Reported Outcomes Measurements Over Time in Oncology (PROMOTION) Registry”に登録された。
【結果】66の無作為化比較試験が抽出され、そのうち56論文(85%)が頭頚部がん、10論文(15%)が甲状腺がんを対象としていた。 PROの位置付けは、22論文(33%)では主要評価項目、44論文(67%)では副次的な評価項目であった。 全体で40種類のPRO評価ツールが使用されていた。 国際QOL研究学会(ISOQOL)の報告基準への遵守割合に関して、PROを主要評価項目としている論文では、副次的な評価項目としている論文に較べて、より高く示された(43% vs 29%)。 PROに関する報告の完璧さについて、経時的な改善傾向は認められなかった。ISOQOLのチェックリストに掲載されている項目内容は、論文中に十分には記載されていなかった。 「PROの評価における仮説」が8論文(12%)、「PROの評価ツール選択の理由」16論文(24%)、「PROデータの欠損率」19論文(29%)、「結果の一般化可能性」12論文(18%)といった状況であった。 55論文(83%)の抄録にPROの記載があり、30論文(45%)ではPROによる結果の解釈が示されていた。
【結論】エンドポイントとしてのPROに関して、副次的な評価項目としているものに較べて、主要評価項目としている無作為化比較試験において、より包括的な報告がなされていた。 とくにデータ収集、解析、結果の一般化可能性について、PRO研究報告の透明性に改善が必要と思われた。
コメント
本論文は、2017年10月に開催されたISOQOL 24th Annual Conferenceのシンポジウムで取り上げられていたものである。 レビュー対象のがんを頭頚部と甲状腺とした理由は明らかでないが、今回の抽出数から考えて、がんを対象としたPRO評価を有する無作為化比較試験の論文数はかなり多いことが推察される。 論文で触れられている国際QOL研究学会における報告基準は、Brundageらの論文(Qual Life Res 2013;22:1161–1175)に詳しい。 近年、ISOQOLはPRO研究にシフトしている印象がある。 PROに関する情報発信も活発に行われており、興味のある方は学会ホームページも参考にされたい(http://www.isoqol.org/)。(NM)
<2017年9月 文献紹介>
重大な健康イベント後の高齢者の健康自己評価のレスポンスシフト
Spuling SM, Wolff JK, Wurm S. Response shift in self-rated health after serious health events in old age. Soc Sci Med. 2017 Sep 19;192:85-93.
doi: 10.1016/j.socscimed.2017.09.026.
【背景】健康状態は一般的に加齢に伴って悪化するが、高齢者の自分の健康状態評価(self-related health:SRH)は良い状態を保っていることが多い。 しかし、急な健康低下に直面した際に高齢者のSRHがどう変化するかはほとんど知られていない。 SRHの変化/安定は、健康の変化/安定だけでなく人々の「健康」概念の意味の変化を反映するので、本研究では、一般的な高齢者を対象に、重要な健康変化の有無によるSRHのレスポンスシフト効果について検討する。
【方法】65歳以上のドイツ高齢者調査の1764人の縦断的データ(3年間隔で2回評価)を用いて、SRHの変化と3つのタイプのレスポンスシフト(内的基準の変化:良い健康の基準の変化、優先順位の変化:健康の要因の重要性の変化、概念の再構成:要素の削除や新しい要素の追加)を調査した。 基準の変化を調べるために「Then test」を、優先順位変化と概念の再構成を調べるためにパス解析を行った。
【結果】測定期間後にSRHは低下した。予想通り、重大な健康イベントを経験した人は、SRHの低下がより強かった。 本研究では、2つのタイプのレスポンスシフトのエビデンスが得られた。 重大な健康イベントを経験したかどうかにかかわらず、平均して、個々人は自分のベースラインの健康の振り返り評価を、現在の評価と比較して過大評価した(内的基準の変化)。 さらに、重大な健康イベントを経験した人は、抑うつ症状予測の重要性とSRHの楽観性が高まった(優先順位の変化)。
【結論】この結果は、高齢者が2種類のレスポンスシフト(内的基準の変化、深刻な健康イベントに直面した場合の優先順位の変化)を使用して安定したSRHを維持することを示している。
コメント
本研究は、人の認識におけるホメオスタシス機能としてのレスポンスシフトを扱っている。 健康状態が悪くなれば健康状態自己評価も悪くなるのは当然のことのようであるが、本研究では、重大なイベントが起こった場合にはそれがおこることをまず確認した。本研究はそのことのみならず、健康状態が悪くなったにもかかわらず健康状態自己評価は良好であると回答する心理的メカニズムについて言及した。 そのメカニズムを示すためにレスポンスシフトの概念と方法論を使用したところに、新規性があると思われる。(SY)
<2017年8月 文献紹介>
日本における去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)の治療に関する患者の選好-離散選択分析
Uemura H, et al. Patient preferences for treatment for castration-resistant prostate cancer in Japan: a discrete-choice experiment. BMC Urology 2016, 16:63.
【背景】前立腺癌患者の約5分の1は予後不良な去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に発展する。 患者の選好と処方の一致が患者のアウトカムに恩恵をもたらす可能性があり、本研究は、CRPC治療の決断プロセスの一部として患者の視点を考慮することを目的とした。 本研究では、Ra-223、アビラテロン、ドセタキセルなどの治療に関連した性質に関しての日本のCRPC患者の選好を調べた。 さらに、治療の選好が症状の有無で変わるかどうかについても調べた。
【方法】2つの研究アプローチを取った。フェーズ1では、1つの病院から8人のCRPC患者を募集し、調査案へのフィードバックのための質的インタビューを行った。フェーズ2では、5つの病院から134人の患者を募集し、質問紙による調査を行った。 6つの治療選択に関する質問を含み、各々には、CRPCに関する2つの仮定治療間の選択に関する質問を置いた。 各治療の選択肢は次の属性によって定義された。すなわち、全生存期間 (OS)、症候的骨イベントまでの期間(SSE)、投与方法、骨痛のリスク軽減、治療関連疲労、就業日の損失、である。 各属性レベルに関する相対的な選好の重みと、相対的重要性の平均の推定には、階層ベイズロジスティック回帰が用いられた。
【結果】計133人のCRPC患者が調査を完結し最終解析に含んだ。 患者の平均年齢は75.4歳(SD = 7.4)で、前立腺癌の診断を平均6.5年(SD=4.4)前に受けていた。 属性のうち、疲労が最も重要性が高かった(相対的重要性 [RI] = 24.9 %, 95 % CI: 24.7 %, 25.1 %)、その次に重要性が高かったのは、骨痛のリスク軽減(RI = 23.2 %, 95 % CI: 23.0 %, 23.5 %)、OS(RI = 19.2 %, 95 % CI: 19.0 %, 19.4 %)の順であった。 症状がある患者はSSEまでの期間に有意に(p < .05)高い重要性を示したが、その他の選好では違いがなかった。
【結論】CRPC患者は、生存期間の延長よりも治療の副作用からくるQOLの低減に最も関心があった。この結果は患者―医師間の共有決断にとって有意義である。
コメント
治療法選択についての患者-医師の協同決断(shared decision-making)を、患者の選好に基づいて行うことについての研究は、近年欧米で盛んになっている。 本研究は日本からの数少ない貴重な報告である。しかしこのような研究には数多くの限界がある。 例えば、選択バイアスでは、参加患者の事前スクリーニングは医師によって行われることが多かったり、答えられるだけの健康度を保っている患者やこのような研究に興味があったりする患者が選ばれやすい。 次に、DCE法では仮定の治療法を比較選択させるが、患者によって、同様のアウトカムを得るとは限らない。 また、本研究では影響が認められなかったが、患者の治療期間や負担が関係する可能性がある。 このような限界も、多くの研究が適切な研究手法を用いて蓄積されることで、克服できるものと思われる。(SK)
<2017年7月 文献紹介>
Patient-Reported Outcomes 潜在力を発揮できているか?
Judith F. Baumhauer, et al. Patient-Reported Outcomes — Are They Living Up to Their Potential? N Engl J Med 2017; 377:6-9.
米国では、患者の声を医療に取り入れようとする運動が全国的に広がっており、Patient-reported outcomes (PRO)を収集する組織が増加している。 しかし、本QOL/PRO研究会でもしばしば議論されることであるが、どのようにしてPROに関する情報を収集、可視化、共有し、医療の質を改善していくのか、未だ定まっていない。 Rochester大学では、米国NIHによって開発され、妥当性が検証された測定ツールであるPatient-Reported Outcomes Measurement Information System (PROMIS)を用いて、外来患者のPROが評価されている。 PROMISは患者の答えに応じて次の質問が選択されるコンピュータ適応型テスト・項目応答理論を採用しており、少ない情報量からPROスコアを計算することができる。 Rochester大学では、8割の患者が身体機能、疼痛、抑鬱について評価を受けており、平均回答時間は2.4分とのことである。 この2年間では、14万8千人の患者に対して110万以上のPROMIS評価が実施されている。 得られたデータは、電子カルテとリンクすることが可能であり、診断名、手術名、併存疾患、薬物療法、理学療法などとPROとの関連性が解析されている。 結果は患者とのShared Decision Makingに役立てられ、PROを複数の手術間で比較することで外科医の技術を評価したり、改善に乏しい術式を実施しないようにしたりすることも可能になっている。 そして、特定の機能や症状について、術後の経時的変化、つまりロードマップを患者に示し、仕事、学校、スポーツへと復帰する見通しを与えることで、患者満足度を高めることができている。 何よりPROは、医療の最前線に患者の声を届けることを可能にしている。
コメント
IT技術が進歩した今日、電子カルテにPROをダイレクトに取り込み、データベース化し、実臨床の意思決定に使用することが可能になってきた。 さらに、電子化されたPROは、医療の質の改善にも利用されようとしている。 例えば米国外科学会(American College of Surgeons)は、手術の質を改善するために実施しているNational Surgical Quality Improvement Programにおいて、多施設を対象にPROMISを用いてPROを収集し、その他の臨床データとともに大規模データベースにPROを加えようとしている。 そして、本論文に記載されたようなアプローチを用いることで、手術の質を改善し、患者安全を向上させようとしている。 社会、患者の高齢化が進み、ますます治療、手術を最適化させることが求められる本邦においても、同様の試みが推進されることを期待したい。 なおPROMISは、過去の本文献紹介(2016年5月、2017年1月)でも取り上げられているので、併せて参照していただきたい。(NT)
<2017年6月 文献紹介>
急性呼吸窮迫症候群患者の6ヵ月後の健康アウトカムの予測因子
Brown SM, et al. Predictors of 6-month health utility outcomes in survivors of acute respiratory distress syndrome. Thorax 2017;72:311–317.
【背景】集中治療を必要とする急性呼吸不全のさまざまな原因疾患のうち、急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome; ARDS)は重症で治療が困難な疾患として知られている。 ARDSの診断は①急性発症,②胸部画像上の両側性陰影,③心不全ではない,④低酸素血症の 4 項目で行なわれる。 従来から、致死的な病態であるとされてきたが、近年人工呼吸管理の発達や急性期からの早期リハビリ介入により、生命予後が改善した。 そして今、長期的な機能予後が重要となっている。アメリカ、カナダのARDS networkという組織が、多施設で患者のデータを前向きに集積している。 このデータベースにおいて退院後のQOLスコアとしてEQ5d-3Lが調査されており、入院6ヵ月後のEQ5d-lスコアに影響を与える因子を解析している。
【方法】ARDS networkが集積している1176人のデータのうち、栄養や薬剤介入の4つのRCTに参加した 656人が対象となった。 入院6ヵ月後のEQ5d-lスコアをプライマリアウトカムとし、それに影響を与えうる144項目のうち、どの項目がアウトカムに強く影響を及ぼしているかを、LASSO (Least absolute shrinkage and selection operator)を用いて解析した。
【結果】アウトカムに悪影響を及ぼしていた項目として、①高齢、②女性、③人種(Hispanic/Latino)、④入院前自宅で生活していたが社会的サポートが必要であった患者、⑤施設入所であった患者、⑥喫煙患者、⑦高BMI(body mass index)患者があげられた。 その一方で酸素化の数値やARDSの重症度、APACHE IIIという臓器不全の重症度スコアはアウトカムに影響を及ぼさなかった。
【結論】ARDS患者の長期的なQOLスコアにおいて、疾患重症度などの急性期に関わる項目よりも入院前の自立度合いや喫煙、肥満などの生活スタイルの方がより強く影響を及ぼしていた。
コメント
昨今、外傷や集中治療領域においても救命率などの短期的予後だけでなく、中長期的なQOLやADLがアウトカムとして重要視されるようになってきている。 しかし、この領域の患者のQOLスコアを用いた中長期的な予後調査は未だほとんどなされていない。 本研究はARDSという難治性呼吸不全患者の長期的な予後に着目した貴重な研究である。 本研究結果では、長期的QOLへの影響としては、急性期の疾患・病態の重症度はあまり大きくなく、入院前の生活状況や生活スタイルのほうが大きかった。 この結果は急性期医療にかかわる私たちにとって意外であった。 この結果から、ARDSのような重症急性疾患においても、社会復帰やQOL向上のための生活の自立支援やリハビリ、生活スタイル改善などが重要であることが示唆された。(TNo)
<2017年5月 文献紹介>
アイルランドの低社会経済的地域の子ども達におけるKidscreen-27の心理的特性の検証
Stephen S, et al. Testing the psychometric properties of Kidscreen-27 with Irish children of low socio-economic status. Quality of Life Research. 2017; 26(4): 1081-1089.
【背景】Kidscreen-27は、子どもの健康関連QOL(HRQOL)を測定するスタンダードな尺度であり、欧州連合(EU)が提供し、ヨーロッパ13か国が文化的な違いの調和を図りながら共同プロジェクトの一環として2001-2004年に開発された。 今までの研究では、仮説5因子モデルの複合的な結果が報告されており、アイルランド(北部と共和国)の低社会経済的地域(SES)の子ども達において検証的因子分析(CFA)は行われていない。 本研究の目的は、アイルランドの低社会経済的地域の子ども達に対するKidscreen-27の心理的特性を検証すること、更に、Kidscreen-27が概念的に有効であり、子どものHRQOLを評価するのに内的整合性が確保されているかを検証することである。
【方法】データは、クラスターランダム化比較試験の一部として収集された。 低社会経済的地域の8-9歳の子ども663名(男児347名、女児315名、M=8.74、SD=.50、北アイルランド186名、アイルランド共和国477名)を対象者とした。 2014年9月~2015年1月に郵送法にて収集した。最尤推定を用いて、仮説5因子そして修正7因子CFAモデルを特定した。 モデルの適合度を比較するため、χ二乗差検定を行った。内的整合性と床および天井効果の影響も検証した。
【結果】検証的因子分析において仮説5因子モデルの適合度は容認できなかった。 しかし、修正7因子モデルの適合度のほうが5因子モデルの適合度より、有意に高いことを示した。 内的整合性は、1つの因子(気分と感情)では低く、天井効果は、一つの因子(親子関係と家庭環境)を除くすべてにおいて存在した。
【結論】今後の研究では、社会経済的に恵まれない子ども達に対して7因子モデルを適用すべきだと考える。このような研究の積み重ねは、人々の健康状態をチェックするのに役立つだろう。
コメント
Kidscreenは、世界で多く活用されており、日本語版に翻訳したJ-KIDSCREENも開発されている。 この調査票は、52質問項目で下位尺度10領域、27質問項目で5領域、10質問項目で1領域と質問数によって下位尺度が統合される。 回答は自記式だが活用できる年齢幅は広い。今回は8~9歳に限定して調査を行っているため、理解力の幅は大きくない。 子どもの成長発達によって、回答の変動が生じる可能性があるため、その部分の検証も行う必要性があり、対象者の年齢や住む環境によっては、下位尺度の有用性も常に検証する必要性があると改めて感じた。 それによって、結果の解釈に差異が生じる可能性があることがわかった。(HR)
<2017年4月 文献紹介>
頭部外傷患者の自己認識QOLと介護者評価QOL
Formisato R, et al. Quality of life in persons after traumatic brain injury as self-perceived and as perceived by the caregivers. Neurol Sci. 2017; 38:279-286.
【背景】頭部外傷患者を対象とした多くのアウトカム研究では、ADLや健康関連QOLがその指標として重要である。 筆者らが開発したQOLIBRI(Quality of Life after Brain Injury)は身体的、精神的、心理学的、社会的、そして日常生活における健康状態や機能、幸福感を患者自身が主観的に判断する評価尺度である。 本研究の目的はQOLIBRIの代理人バージョンを用いて、介護者による評価と患者の評価について、患者のアウェアネスの程度と比較して検討することである。
【方法】まず、外来の頭部外傷患者19名とその介護者を対象に、患者にはPatient Competency Rating Scaleを用いてアウェアネス(短期記憶や遂行機能,注意機能の障害)を評価した上で、両者にQOLIBRIの患者バージョン(Q-Pt)と患者中心型代理人バージョン(Q-Pro)をそれぞれ用いてQOLの評価を実施した。 その後、55人の患者とその介護者を対象に患者中心型と介護者中心型代理人バージョンを用いてQOLの評価を実施した。 Q-Ptは患者自身の主観的視点で、Q-Proは介護者が受け止めている患者のQOLをそれぞれ評価するものであり、どちらも大きく“満足度”と“悩み“という2つのカテゴリに分けられるものである。
【結果】患者の多く(62.2%)は代理人よりもQOLが良いと判断した。 しかしながらその一方で、アウェアネスの低い患者は、アウェアネスのある患者に比べて“満足度”は低く、“悩み”も大きいという結果になった。 Kappa係数で示されるQ-PtとQ-Proの下位尺度の一致度は0.015-0.360と低いものであった。 代理人バージョンの患者中心型と介護者中心型の比較では、両者に差は認められなかった。
【結論】頭部外傷患者において、アウェアネスが低いということが、必ずしも患者自身がQOLを評価する能力に欠けているわけではないということが示された。
コメント
アルツハイマー病など認知症患者のQOL評価に関して、その本人回答による信頼性が低い(病気の進行に伴ってQOLが向上する)として代理人バージョンの有用性を指摘する研究が多数報告されている。 今回の研究は頭部外傷患者であり、アルツハイマー病などの進行性の変性疾患とは異なるものの、短期記憶や注意、遂行機能といった高次脳機能の障害をターゲットとした点では共通している。 結果はアルツハイマー病患者のそれとは異なるものであり、筆者らが言及しているように頭部外傷患者では高次脳機能障害があり、アウェアネスが低くてもQOLを低く見積もることができるというものである。 今回の対象者の平均年齢が34.5歳と若いことも影響している可能性があるが、本人が感じるQOLは記憶や注意、遂行機能とは別の次元、つまり、今回は評価の対象とはなっていない情動や意識といった領域(機能)で感じるものなのかもしれないと考えさせられた。(NS)
<2017年3月 文献紹介>
一期的乳房再建施行後1年目の患者報告アウトカム:The Mastectomy Reconstruction Outcomes Consortium研究の結果
Pusic AL, et al. Patient-Reported Outcomes 1 Year After Immediate Breast Reconstruction: Results of the Mastectomy Reconstruction Outcomes Consortium Study. J Clin Oncol. 2017 Mar 27: JCO2016699561. doi: 10.1200/JCO.2016.69.9561.
【背景】再発の恐れ、予防的意義を含めた両側乳房切除術の増加、術前画像診断や乳房再建技術の発展により、従来主流であった乳房温存術の施行率は減少し、乳房切除ならびに一期的乳房再建の施行率が増加している。 乳房再建方法としては、人工物を用いた方法と自家組織を用いた方法とがあるが、これらのボディーイメージや満足度、QOLを比較した知見は少ない。
【目的】乳房切除と一期的乳房再建施行後1年目の満足度やQOLを、人工物による乳房再建方法と、自家組織を用いた乳房再建方法とで比較すること。
【方法】多施設共同、前向き観察研究(The Mastectomy Reconstruction Outcomes Consortium:MROC)。米国、カナダの11施設が参加。 調査票は、Breast-Q、Patient-Reported Outcomes Measurement Information System (PROMIS)-29を用い、術前と術後1年目に調査した。 baselineと1年目スコアとの変化量を、Mixed-effects regression modelsを用いて解析、covariatesとして年齢、人種、教育レベル、家計収入、婚姻状態、雇用状態、MBI、病側、リンパ節手術手技、併存症、放射線、化学療法を含めた。
【結果】合計1,632 例 (n = 1,139 インプラント, n = 493 自家組織)を対象とし、1年目の調査票の回収は1,183 例(72.5%)であった。 自家組織を用いた再建群では、インプラント群に比べて1年目の乳房満足度が高く(difference, 6.3; P , .001), sexual well-beingが優れ、(difference, 4.5; P = .003)、psychosocial well-being が優れていた(difference, 3.7; P = .02) 。 自家組織を用いた再建群では、乳房満足度 (difference, 8.0; P = .002) 、psychosocial well-being (difference, 4.6; P = .047) がベースラインに比べて有意に高かった。胸部のPhysical well-being は両群ともに完全に改善せず、腹部のphysical well-being は自家組織群で改善がなかった。 両群ともに、不安・抑うつは改善していた。ベースラインに比べ、インプラント群では倦怠感が改善(difference, 21.4; P = .035)、一方自家組織群では疼痛障害が悪化していた(difference, 2.0; P = .006)。
【結語】乳房切除後1年目、自家組織による乳房再建を受けた患者では、インプラントに比べて乳房満足度が高く、psychosocial、sexual well-being が優れていた。 両群ともに乳房満足度はベースラインと比べ同等以上であったが、physical well-being は完全には回復していなかった。 これらの知見は、患者の治療選択や今後の患者アウトカム改善に役立つであろう。
コメント
乳房再建方法の優劣は、ランダム化比較試験の実施が困難なため、このような前向き観察研究の知見が重要となる。これまで乳房再建のアウトカム指標は、医療者の客観的な整容性であったように思われるが、最も重要なのは患者の満足度やQOLであるわけで、QOL/PRO研究の意義が大きい。Breast-Qが開発されて以降、乳房再建患者を対象としたQOL評価研究は大きく進展しているように思われ、尺度開発の重要性を再認識させられる。 Breast-Qは日本語版も開発されており、本邦においても、この領域の研究が発展することを期待したい。(TN)
<2017年2月 文献紹介>
患者報告アウトカム研究における判定法の評価:個人の文脈とQOLの意味を見出だす方法
Schwartz CE, et al. Appraisal assessment in patient-reported outcome research: methods for uncovering the personal context and meaning of quality of life. Quality of Life Research 2017; 26(3):545-554.
患者報告アウトカム(PRO)に関する昨今の研究は、正確かつ短い測定方法に焦点を当てているが、そのような指標は一般的には、個人の評点が実際に意味するものに関してはほとんど情報をもたらさない。 本論文は、個人が自身のQOLを判断する方法について評価を行うことを臨床研究に統合させることの利点をハイライトしている。
筆者らの研究チームは、以前、個人が自身のQOLを判断する方法を評価する「生活の質(QOL)査定プロフィール」を開発した。 このプロフィールは、「基本的枠組み」「経験のサンプリング」「比較の基準」「結合のアルゴリズム」の4つの視点を、自由解答式と多項選択式質問から評価する者である。筆者らはこの手法を用いて、4つの調査(方法論的研究、変化の解釈、レジリエンスの成立ち、臨床応用)を行っており、本論文は4つの研究を包括的にレビューしたものである。
例えば、方法論的研究においては、Thenテストによって検出された「レスポンスシフト」が必ずしも内容的にレスポンスシフトとはみなされない変化であることを見出すことができた。 また、PRO指標に回答する際、患者によってQOLの意味や想起するものが異なり、スコアは安定しているのに悪くなったと感じる人と、スコアは悪化しているのに安定していると感じる人とでは、QOL回答に際して想起する状況や比較する対象が異なることが明らかにされた。
筆者らは、このような、QOLの自己査定に関するデータを集積することは標準的なPROでは捕えられない人と要因のより細やかで人間中心の理解を提供する、と述べている。
コメント
医療や健康の評価の分野において、レスポンスシフト(健康等の変化によりPRO尺度に回答する際の個人の判断基準が変化すること)を提唱し研究を推進してきたSchwartz CE 氏の最新論文である。 我々はPRO尺度を使用する際、回答者が自己のQOLを判定する方法はある程度の一貫性があることを前提として測定を行う。 しかし、実際は、自己のQOLを判定する際に、想起する内容やその判断基準(何と比較するのか、等)は一定ではなく、本論文はその点に焦点を当てた筆者らの過去の研究をレビューすることで、その価値を述べたものである。 筆者らはこのような判定方法の評価を臨床研究と統合させることを主張しているが、その具体的な方法は本論文だけでは理解しにくかった。 しかし、PRO尺度を使用した量的研究では見ることができない個人内の過程を明らかにすることは、結果の解釈、個々人の理解を促進し、引いては個別化されたケアにつながると考えられる。 量的研究とともにPRO研究の片輪として重要な研究分野である。(SY)
<2017年1月 文献紹介>
PROMIS-PI(Patient Reported Outcomes Measurement Information System pain interference:患者報告アウトカム測定情報システム-疼痛-)のMID(Minimally important differences:最小重要差)
Dagmar Amtmann et al: Minimally important differences for Patient Reported Outcomes Measurement Information System pain interference for individuals with back pain. Journal of Pain Research 2016:9 251–255.
背景:最小重要差(Minimally Important Difference :MID)とは、患者診療に意義をもたらすのに十分意味のある最も小さな変化のことを指す。 MIDは、スコアの解釈を導くのに必須である。 本研究では、Patient Reported Outcomes Measurement Information System (PROMIS) Pain Interference (PI)のMIDを評価した。
方法:腰痛(low back pain :LBP; n=218) もしくは、 うつ病 (n=196)の治療を含む2つの試験に参加した414人の人々が解析対象となった。 腰痛患者は、硬膜外ステロイド注射を、うつ病患者は抑うつ剤の服用と心理療法のどちらかもしくは両方を受けた。 MIDは腰痛の変化で評価した。 MIDは、アプリオリな基準に合致(例:サンプルサイズ≧10、アンカー値とPROMIS-PI スコアの間のSpearmanの相関係数≧0.3、エフェクトサイズ 0.2-0.8)した時のみ数に入れた。MIDの四分位範囲(interquartile range (IQR))を計算した。
結果: IQRは3.5から5.5点の範囲であった。IQRの下限(3.5)は1時点(SEM =2.3) と2時点(SEM =2.5)両方での標準誤差の平均よりも大きかった。 このことは、MID推定値が測定誤差を超えていることを示していた。
結論:我々の結果に基づくと、PROMIS-PIを使用している研究者や臨床医は、PROMIS-PIのスコアが腰痛患者のPROMIS-PIのスコアの平均と比べて3.5から5.5点変化すれば、意味のある変化だと考えて良い。
コメント
昨年5月の文献抄録で、NIHが開発したPROMIS(Patient Reported Outcomes Measurement Information System)というe(electric)- PRO(Patient Reported Outcomes)をがん診療に応用する試みを紹介したが、米国ではこのシステムによるPRO研究が盛んに行われているようである。 本論文は、このシステムの中で疼痛の影響(Pain Interference (PI))で計るスコアの最小重要差(Minimally Important Difference :MID)を決めようとした研究である。PIはTスコアで示してあり、平均が50点、1SDが10点という偏差値のような数値で表示される。 PIスコアの群間の違いと、2測定時点での変化のMIDを求めている。その方法は、従前の基準 1)サンプルサイズ、2)アンカー値との相関、3)エフェクトサイズに合致率をみることによっている。 結果のパートが少なく、詳細は不明であるが、28のMID評価(各種アンカーとの組み合わせ等)のうち、15 (54%) が事前に定めた基準に合致していた。エフェクトサイズが0.8より大きいことで8つ、0.2より小さいことで4つが外れ、2つがアンカー値との相関係数が0.3未満だったことで外れている(重複はある模様)。 サンプルサイズの問題で外れたものはなかった。MIDの四分位範囲((第3四分位数)-(第1四分位数))が、3.5から5.5であったが、これは、エフェクトサイズの0.34 から 0.54 SDと照応していた。 また、同様の検討をがん性疼痛で行った別の文献では、PIのTスコアが4-6点変化することがMIDであるという結果とも近い数値であった。四分位範囲をMIDに措定する根拠がこの論文からはくみ取れなかったが、それに基づくと、事前に定めたMID基準とかなりの程度合致しており、この数値をMIDとして推奨していると読み取れた。 なお参考にしたと思われる先行論文では、IQRはanchor basedのMIDがたくさんあるため、簡便に標記する目的でこれを用いたと記載がある。 この下限値である3.5が2測定時点のいずれのSEMも超えていることも併せて、この値をPROMIS-PIのMIDとするという結論となっている。 ただ、腰痛症の治療患者とうつ病の治療患者をひとまとめにして解析するなど、問題も多い研究ではあるが、従来あまり見られない方法で、MIDを決めていることから紹介した。(SS)