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文献紹介:2023年
<2023年12月 文献紹介>
The Feasibility and Validity of Preference-Based Quality of Life Measures With Informal Carers: A Think-Aloud Study.
Title: The Feasibility and Validity of Preference-Based Quality of Life Measures With Informal Carers: A Think-Aloud Study.
Authors: McLoughlin C, Goranitis I, Al-Janabi H.
Journal: Value Health 2023 Nov;26(11):1655-1664. doi: 10.1016/j.jval.2023.07.002.
【目的】:インフォーマルケアラーを対象とした様々な選好に基づくQOL尺度が開発されている.尺度の妥当性と実現可能性を質的に評価することは,それらの尺度が意図したとおりに機能するかどうかを理解する上で重要なステップである.現在のところ,インフォーマルケアラーを対象とした様々なタイプの選好に基づくQOL尺度の性能についてはほとんど知られていない.本研究の目的は,5つのQOL尺度(Carer Experience Scale,CarerQoL,ASCOT-C,ICECAP-A,EQ-5D-5L)の実現可能性,内容妥当性(表面的妥当性を含む),および受容性を,インフォーマルケアラーを対象に質的に評価することである.
【方法】:英国の成人介護者を対象に,合計24回の “think-aloud “(思考発話法)面接を行った.この音読プロセスに続いて,半構造化ディスカッションを行い,妥当性と実現可能性の問題をより詳細に探った.インタビューデータは書き起こし,QOL尺度の記入ミスの頻度を特定するためにコード化し,尺度の妥当性,実現可能性,受容性を検討するために主題分析を実施した.
【結果】:各尺度の回答において,明確なパターンはほとんどなく,エラーはほとんど確認されなかった(1項目あたり3%~7%).ほとんどの参加者は,尺度が簡潔,明確,適切であると感じていた.課題としては,関連性,文脈,期間,項目の欠落,複数の質問,回答選択肢などが挙げられた.インフォーマルケアラーは,一般的にケア関連のQOL尺度を使用することを希望した.
【結論】:既存の選好に基づくQOL尺度は,インフォーマルケアラーのサンプルにおいて,わずかな問題提起があったものの概ね良好な妥当性と実現可能性を有していた.これらの結果はインフォーマルケアラーにQOL評価を実施する際に,意思決定の背景とともに考慮されるべきである.
コメント
本論は,インフォーマルな介護者向けに開発された選好に基づくQOL尺度(Preference-Based Measure:PBM)を対象に質的に検証した点に新規性がある.抄録には含まれていないが,受容性はCarer Experience Scale:6/16,CarerQoL:3/16,ASCOT-Carer:7/16,ICECAP-A:1/12, EQ-5D-5L:0/12であり,ASCOT-Carerがもっとも高くなり,逆にEQ-5D-5Lの受容は悪くなった.介護者に特異的なPBMは介護そのもののアウトカムとしてだけではなく,医療技術の社会的な価値を測定する目的でニーズが高まりそうであるが,そのスコアを費用対効果評価に用いるには議論が必要であろう.まずは日本でのエビデンスを積み上げていく必要があるし,第一選択肢であるEQ-5D-5Lとの関係性を検証する必要がある.ちなみに,ASCOT-Carer の日本語版タリフによるともっとも悪いスコアは0.011であり,ものさしとしてはEQ-5D-5Lとほぼ同様で興味深い.なお,本論で一部の回答者から発言のあった,QOL尺度の質問は「ネガティブなことばかりですね」というコメントは介護という問題の複雑さを言い表しているように感じた.(SN)
<2023年12月 文献紹介>
Quality of Life and Needs in Caregivers: Results From the Prospective Multicentric Open-Label Randomized Study of Informal Caregivers of Elderly Patients
Title:Quality of Life and Needs in Caregivers: Results From the Prospective Multicentric Open-Label Randomized Study of Informal Caregivers of Elderly Patients
Authors: Astrid Pozet, et al.
Journal: Int J Public Health, August 2023, Vol 68
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10498993/
【背景】:医療技術の進歩により生存年数が延長している一方で、疾患による様々な機能障害を抱えながら生活を送る住民は増加傾向であり、彼らは生活を送るうえでcare giverを要ることがある。ヨーロッパでは2017年時点で50歳以上の住民のうち、20%がcare giverになっており、2030年には25%に上昇するとの試算がある。Care giverは自身の生活+様々な介護に関わる障壁を経験している。Care giverをサポートする定型的なシステムが存在している国は少ないが、ソーシャルワーカーがこれに寄与できる可能性がある。
【目的】:慢性疾患を抱えた高齢者のcare giverのQOLに対して、ソーシャルワーカーによる介入が寄与するかを確認する。
【方法】:フランスのBurgundary-Franche-Comite地方に在住する慢性疾患(ガン、神経変性疾患、廃用症候群、脳卒中)と診断されている60歳以上の住民のcare giverを対象とした。対象となったcare giverを定期的なソーシャルワーカーによる介入あり群(SIG)と介護に関する冊子を配布のみする対照群(CG)にランダムに割り振り、縦断的にデータ収集を行った。プライマリーアウトカムはデータ収集開始時/12か月後/24か月後のSF-36のコンポーネントサマリーの変化量、セカンダリーアウトカムは同時期のSF-36の8ドメイン、不安/うつ尺度のHADS、介護負担尺度のZarit Burden scaleのスコアの変化量に設定された。
【結果】:慢性疾患患者の平均年齢:73歳。SIGに割り振られたcaregiverは90名、12か月後までフォロー可能75名、24か月後までフォロー可能56名であった。CG に割り振られたcaregiverは89名、12か月後までフォロー可能77名、24か月後までフォロー可能57名であった。患者/caregiverの関係性は両群で、配偶者66%/子22-25%/兄弟5-6%/友人3-7%であった。
SIGのSF-36の身体サマリスコアの変化量(12か月後-開始時/24か月後-開始時):-4.1/-2.4
CGのSF-36の身体サマリスコアの変化量(12か月後-開始時/24か月後-開始時):-4.2/-3.6
SIGのSF-36の精神サマリスコアの変化量(12か月後-開始時/24か月後-開始時):-0.3/0.1
CGのSF-36の精神サマリスコアの変化量(12か月後-開始時/24か月後-開始時):-1.0/0.5
統計的には開始時-12か月後の身体サマリスコアの変化量においてSIGのほうが低下が少なかったが、他は2群の変化量に差はなかった。
HADS/Zarit Burden scaleの変化量についても2群で有意差は認めなかった。
【結論】:ソーシャルワーカー介入でCare giverのQOLの低下が少なくすることは証明できなかった。
コメント
日本でも機能障害を抱えながら在宅生活を送る高齢者は年々増加している。国は医療費/介護費の抑制を目的として施設入所ではなく、できる限り長い在宅生活の維持を目指している。その中で、老老介護やヤングケアラーといった社会的問題が出てきている。全国平均で2040年までは介護必要度は上昇し続けると試算されている(2040年介護問題)。現在の日本で介護を要する住民のケアシステム構築はなされてきているが、介護者に関してはその対象となっていない。本研究はそういった介護者へのサポートとしてソーシャルワーカーの介入が寄与するのかをQOLスコアをアウトカムにして検証したものである。こういった介入は個々人で大きく異なることが多く、なかなか定量化ができないことから、ランダム比較試験研究はかなり稀であり、本研究はそういった意味で貴重な研究と思われる。結果としてはソーシャルワーカー介入が介護者のQOLに寄与したということは証明できなかった。具体的な介入方法は、ソーシャルワーカーが介護者と半構造化面談を行い、問題点をチェックすることを開始時/6か月後/12か月後/18か月後/24か月後に行うというものである。考察でも言われているが、この介入の6カ月ごとというスパンが長すぎるため、介護者との信頼関係が構築できていない、もっと頻回のサポートが本来必要であるのにそれを満たせていない、といった側面が隠れているものと思われる。しかし、これ以上の頻回の面談/サポートをソーシャルワーカーが行うことは現実的ではなく、地域内での非専門職によるサポートや介入システム構築が必要である可能性がある。日本の地域包括ケアシステムは自助/互助/共助/公助からなっているが、この中の地域での「互助」が介護者サポートという観点でも重要である可能性があると考えた。(TY)
<2023年8月 文献紹介>
An Analysis of 5-Level Version of EQ-5D Adjusting for Treatment Switching: The Case of Patients With Epidermal Growth Factor Receptor T790M-Positive Nonsmall Cell Lung Cancer Treated With Osimertinib
Title:An Analysis of 5-Level Version of EQ-5D Adjusting for Treatment Switching: The Case of Patients With Epidermal Growth Factor Receptor T790M-Positive Nonsmall Cell Lung Cancer Treated With Osimertinib
Authors: Jeshika Singh, et al.
Journal: Value in Health. 2022;25:1205–1211.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1098301522000997
https://doi.org/10.1016/j.jval.2022.01.022
【背景】:がん臨床試験では、増悪後に対照治療から試験治療への治療変更が許容されることがよくある。そのため、抗がん薬の医療技術評価を行う際には、増悪後の治療変更が全生存期間におよぼす影響を補正した統計解析がよく行われる。しかし、増悪後の治療変更が健康関連QOLにおよぼす影響を補正した統計解析はほとんど行われていない。
【目的】:進行肺がんに対するオシメルチニブを評価したAURA3試験データを用いて、質調整生存年とEQ-5D-5Lに対するオシメルチニブの効果推定値に治療変更の補正がどのように影響するか評価した。
【方法】:AURA3試験では、既治療の上皮成長因子受容体T790M変異陽性進行非小細胞肺がん患者419名がオシメルチニブ群と標準化学療法群に2対1にランダム化された。EQ-5D-5Lはベースラインから6週ごと150週まで測定された。2段階操作変数法を用いて、治療変更の影響を補正した質調整生存年に対する治療効果を推定した。rank-preserving structural failure time modelを用いて、治療変更の影響を補正したEQ-5D-5Lの悪化(ベースラインから0.08以上の低下)までの時間に対する治療効果を推定した。
【結果】:標準化学療法群の約70%の患者で増悪後にオシメルチニブが投与された。多重補完後の60週までの増分質調整生存年は、intention-to-treat解析(0.23 QALYs)より治療変更の影響の補正後(0.52 QALYs)で大きかった。150週までの増分質調整生存年でも同様の結果であった。EQ-5D-5Lの悪化までの時間の解析では、オシメルチニブの方が悪化までの時間が長かった(加速因子 −0.275、95%信頼区間 [−0.50, 0.00])。
【結論】:治療変更の影響を補正しないと、オシメルチニブによる増分質調整生存年を大きく過小評価していた。
コメント
着想は参考になります。これまで、全生存期間の解析では治療変更の影響を補正した統計解析が行われてきました。むしろ、医療技術評価の世界ではそれが標準的と言ってもよいかもしれません。しかし、著者たちの言う通り、健康関連QOLの解析で治療変更の影響を補正する解析はあまり行われていません。その理由は、著者たちは触れていませんが、そもそも増悪後の健康関連QOLを測定している臨床試験が限られているからだと私は思います。今回解析したAURA3試験では、幸いなことに増悪後もEQ-5D-5Lの測定が続けられていました。健康関連QOLへの影響も含めて治療変更の影響を補正すれば、より大きな質調整生存年の改善を示せるだろう。そういうモチベーションで著者たちが研究に取り組んだことは想像に難くありません。
しかし、気になる点が2点あります。1点目は、質調整生存年の解析で治療変更の影響を補正する統計手法として、2段階操作変数法が適切かどうかです。まず、どのような統計解析が行われたのか、論文からしっかりとは読み取れませんでした。特に、いつ治療変更が起こったのかをどのように考慮しているのか、記載はありますが、具体的には理解できませんでした。2段階操作変数法は、時間の経過とともに変化する治療の効果を推定する因果推論手法ではありません。EQ-5D-5Lの悪化までの時間の解析で用いているような、時間の経過とともに変化する治療の効果を推定する因果推論手法の方が、目的に合っているように感じました。
2点目は、この解析事例が、今後の医療技術評価にどのように役立つかという点です。考察もされていますが、抗がん薬の医療技術評価では、モデル(分割生存時間モデルや多状態モデル)を用いた医療経済評価が行われることが多いです。一方、今回の解析では、経時的に測定されたEQ-5D-5Lデータを使って、患者ごとに質調整生存年を算出し、増分質調整生存年を推定しています。モデルを用いた医療経済評価で増悪後に測定したEQ-5Dデータを活用するためには、増悪後のEQ-5D indexに対する治療変更の影響を補正する解析が必要になるだろうと思いました。(YH)
<2023年7月 文献紹介>
Getting ready for real-world use of electronic patient-reported outcomes (ePROs) for patients with cancer: A National Comprehensive Cancer Network ePRO Workgroup paper
Title: Getting ready for real-world use of electronic patient-reported outcomes (ePROs) for patients with cancer: A National Comprehensive Cancer Network ePRO Workgroup paper
Authors: Jennifer R Cracchiolo, et al.
Journal: Cancer (2023 May 24)
https://acsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cncr.34844
https://doi.org/10.1002/cncr.34844
【概要】:電子的患者報告型アウトカム(ePRO)は、患者にとっても医療従事者にとっても、さらに、医療制度や保険者や一般社会にとっても、利点をもたらす可能性がある。一方、がん臨床にとって本当に有用なePROのシステム(プログラム)を開発するためには、意味のある問題の定義(何を問題として、そのePROを始めるのか)、ePROの収集(どのように収集するのか)、事後の対応(ePROによって介入が必要となったときの行動)、モニタリング(成功と失敗を絶えず確認する)が必要となる。具体的に、がん患者のためのePROプログラムのために考慮すべき10のガイドラインを提供する。
- 問題を定義する(Define the problem)
- 尺度を選定する(Selection of ePRO measures)
- どのように患者へ依頼するか[メール、アプリ等](Delivering ePROs to patients)
- いつ回答してもらうのか[臨床上(現実)のイベントと回答タイミングの関連づけ](Timing of delivery to patients)
- 誰に回答してもらうのか[全患者か一部の患者か/代諾者・代理回答者の考慮](Who receives ePROs?)
- 格差の軽減[回答できない方など、不利を被るサブグループはいないか](Address and mitigate disparities)
- 回答を受けた対応[回答に応じて誰がどう次のケアをするのかのシステム化](Who is responsible for action?)
- 負担を軽減したうえでの対応の最大化[臨床家・患者双方の負担を考慮した使いやすいプログラム](Minimize burden and maximize action)
- アウトカムの測定とモニタリング(Measure and monitor outcomes)
- 維持(Maintain engagement)
コメント
NCCN(National Comprehensive Cancer Network)は、米国で33のがんセンターが集まり構成している非営利のネットワークです。その目的は、がんのケアの改善・発展であり、様々な立場の者に対する情報発信(発信すべき情報リソースの開発を含む)を行っています。例えば、看護師向けの教育ウェビナーを開催・公開していたり、患者向けのガイドラインを掲載したりしています。
本稿は、「がん患者の実臨床のためにePROを開発・導入・維持するために考慮すべき10のガイドライン」を、NCCNのePROワーキンググループから発信するものです。【概要】にはガイドラインの見出しとちょっとしたキーワードのみを挙げました。それぞれの見出しは、それだけ聞けば当然のように思われますが、本文中では非常に具体的・実践的にガイドが書かれています。例えば8番目では次のように書かれています(抜粋しております)。
—
ePROを患者も臨床家も継続しようと思うためには、負担を最小限に抑え、ePRO後の反応を最大化することが必要である。したがってePROプログラムは、患者と臨床家がプログラムにどのように反応し、その有益性をどのように認識するかを考慮する必要がある。
患者にとって、ePROへの反応のしやすさは重要である。例えば、メールで患者ポータルへのログインを促すのであれば、テキストメッセージで直接ハイパーリンクを提供すべきであろう。患者が回答を完了した後、それが引き金になったと感じられる医療者からの反応があると、ePROの継続性は高まる。患者が吐き気を訴えると、診療チームが患者に連絡して吐き気に対処してくれるときなどである。
—
ここで推奨されている事項は、米国に限らず日本でも、また、がん臨床に限らず他の分野でも、共有可能な重要事項に感じられます。一方で、NCCNがこのようにガイドラインを提供するということは、裏を返せば、これらの事項が配慮されずにプログラムされたePROが、かえって患者や医療者の負担を増加させたりして、せっかくの活動が継続しないことが米国でもしばしばあるのだろうと考えさせられます。コミュニケーションとケアを改善させるツールとして、ePROをうまく使うために確認しておくべき事項として、紹介させていただきました。(IS)
<2023年6月 文献紹介>
Oral health‑related quality of life after radiation therapy for head and neck cancer: the OraRad study
Title: Oral health‑related quality of life after radiation therapy for head and neck cancer: the OraRad study
Authors: Patton LL, et al.
Journal: Support Care Cancer (2023)20:31; 286
https://link.springer.com/article/10.1007/s00520-023-07750-2
【背景】:頭頸部がん患者は、治療後にQOLに影響を与える複数の症状(有害事象)を抱えることが多い。生存者のQOLは、発症部位、治療方法(手術、放射線療法、化学療法)、ライフスタイル要因、その他の社会学的特徴によって異なる可能性がある。頭頸部がん治療に伴う有害事象が、患者のQOLにどのように影響を与えるのかを把握する必要がある。
【目的】:根治的照射を受けた頭頸部がん患者の、治療後2年間の口腔関連QOL(OH-QOL)の変化と、これに影響を与える因子の検討。
【方法】:頭頸部がん患者572名が、米国の多施設共同前向き観察研究(OraRad)に参加した。独立変数として患者背景(性別、年齢、人種、学歴、喫煙歴、飲酒歴、歯科保険加入の有無、医療保険加入の有無)、腫瘍変数(発生部位、バイオマーカーHPV、Tステージ、Nステージ)、治療変数(治療法:放射線単独 or 放射線+化学療法 or 手術+放射線治療 or 手術+放射線治療+化学療法、照射線量、照射方法)を収集した。OH-QOL として、EORTC QLQ -H&N35 scaleの10の単項目質問と、嚥下障害と感覚障害(味覚と嗅覚)の2つの複合尺度を用いた。これらを照射前(ベースライン)と照射後6、12、18、24ヶ月に評価した。
【結果】: 24ヶ月後のOH-QOLに最も影響を与えたのは、口渇、唾液の粘着性、感覚障害であった。これらは、治療6ヵ月後が最も悪い値を示していた。嚥下は、中咽頭がん、化学療法、非ヒスパニック系民族が最も影響を与えていた。感覚と口渇は、高齢になるほど悪化した。口渇と唾液の粘着性は、男性、中咽頭がん、リンパ節転移、化学療法併用患者で悪い結果を示した。開口障害は、化学療法の併用により増加し、非白人およびヒスパニック系で多く認められた。放射線量が1000cGy増加すると、固形物の嚥下困難 、口渇、粘着性唾液、味覚、感覚において、臨床的に意味のある変化が認められた。
【結論】:患者背景、腫瘍変数、治療変数は、照射後2年までの頭頸部がん患者のOH-QOLに影響を及ぼしていた。頭頸部がん放射線治療に伴う口渇は、OH-QOLに最も悪影響を与える持続的な有害事象である。
コメント
医療技術の進歩により、バイオマーカーの開発、分子標的薬、免疫療法、新たな治療機器が出現し、生存期間は延長してきた。放射線治療では、強度変調放射線治療、画像誘導放射線治療、粒子線治療(陽子線、重粒子線)といった技術が開発されたにも関わらず、口渇、嚥下、味覚の異常感は少なくとも2年間は残存し、さらに化学療法の併用により増悪することが明らかとなった。がん治療は、寛解を達成するだけでなく、治療毒性を軽減することで、がんサバイバーのQOLをより高いものにする必要がある。そのためには、がんサバイバーの長期的QOLを明らかにし、治療パラメータによって予測される毒性プロファイルを示し、支持療法を含めた治療計画を立案する必要がある。(AT)
Quality of Life vs. Supportive Care Needs for Oral Cancer Caregivers: Are They Related?
Title: Quality of Life vs. Supportive Care Needs for Oral Cancer Caregivers: Are They Related?
Authors: Ahmad AS, et al.
Journal: Curr Oncol (2023)30;1733-1744
https://www.mdpi.com/1718-7729/30/2/134
【背景】:がん患者介護者(家族)は不十分な支援ニーズ(supportive care needs: SCN)や介護負担に直面している。がん患者の身体的悪化は、介護者のQOLに大きな影響を与えることが明らかになっている。医療従事者は、がん患者への臨床的なケアに加え、患者の周囲の人々を意識する必要がある。
【目的】:マレーシアにおける口腔がん患者介護者のQOLとSCNの関係を明らかにする。
【方法】:マレーシアの5つの3次医療医療機関で治療を受ける口腔がん患者の家族・介護者56名を対象とした。介護者に、マレーシア版介護者腫瘍学QOL評価ツール(M-CarGOQoL)とがん介護者向け包括的ニーズ評価ツール(M-CNAT-C)を自己記入してもらった。相関分析と重回帰分析を行い、有意水準はp < 0.05とした。
M-CarGOQoLは29項目からなり、10ドメイン(心理的幸福感、介護負担、医療従事者との関係、管理・運営、経済、心理的対処、身体的幸福、自尊心、余暇、社会的支援、私生活)に分類され、3段階のリッカート尺度(1-Never/Not at all, 2-Seldom/Sometimes, 3-Often/Always) で、得点が高いほどQOLが高いことを意味する。
M-CNAT-Cは、7つの領域(健康・心理的問題、家族・社会的支援、医療スタッフの支援、情報、信頼・精神的支援、病院の設備・サービス、実践的支援)の41項目から構成され、3段階のリッカート尺度(1-No need help, 2-Need a little help, 3-Need a lot of help) で評価される(総スコア41-123)、スコアが高いほどSCNが大きいことを示している。
【結果】:介護者のQOLの平均スコアは76.16±16.01で、心理的幸福(64.87±30.12)と自尊心(68.64±28.29)の領域で最もスコアが低かった。 介護者の SCN の平均スコアは 36.42 ± 24.16 で、最も高いスコアは医療スタッフ (58.44 ± 33.80) および情報 (55.35 ± 29.98) の領域であった。 QOL と SCNは中程度の逆相関を示した (r = 0.58、p < 0.01)。 介護時間(<3 時間/日vs. >3 時間/日)は、QOL および SCNに対して影響を与えていた(F(2, 53)=5.006, p < 0.01, partial η2 =0.16)。QOL と介護時間は SCN の 43% を占めていた(R2 = 0.43、調整後 R2 = 0.41、F(2, 53) = 20.32、p < 0.01)。
【結論】:QOLが低い口腔がん患者の介護者は、SCNが高い。全人的な患者ケアを提供するために、医療提供者が口腔がん患者の介護者を意識することが望まれる。
コメント
がん支持・緩和治療領域で、がん患者のみならず、家族、介護者へ対するケアの重要性が指摘されているが、実践されていないのが現状である。本研究は、がん患者の身体機能の悪化に伴うSCNの増加が、介護者のQOLの低下に繋がることを示している。なかでも、介護に費やす時間は、介護者のQOLやSCNに大きな影響を与えていることを明らかにしている。一方、介護者は、宗教的/精神的なサポート、病院の施設やサービス、実用的なサポートに対しては十分に満たされていると感じている結果は興味深い。
全人的ケアのひとつとして、口腔がん患者とともに介護者を統合的にフォローすることが必要である。口腔がん患者介護者のSCNに効果的に対処するために、介護者全員を対象として、定期的にQOL評価を行う取り組みを検討する必要がある。本論文では、口腔がん介護者を支援するための介入プログラムを立案し、実施することを提案している。今後、CNAT-C やCarGOQoLのような介護者向け評価ツールの日本語版が開発されることが望まれる。
また、本論文中に、介護者が思う「まともな死」の概念や「死の質」の研究について触れており、衝撃的であった。(AT)
<2023年5月 文献紹介>
Development of multivariable models to predict perinatal depression before and after delivery using patient reported survey responses at weeks 4-10 of pregnancy
Title: Development of multivariable models to predict perinatal depression before and after delivery using patient reported survey responses at weeks 4-10 of pregnancy
Authors: Reps et al.
Journal: BMC Pregnancy and Childbirth (2022)22:442; 1-11
https://bmcpregnancychildbirth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12884-022-04741-9
【背景】:周産期うつ病は妊娠数の約12%に影響をもたらすと言われており、複数のnegativeなアウトカムに紐づけられている。妊娠早期の変数を用いて、妊娠期および出産後の複数時点における周産期うつ病を予測するためのモデルは現時点では存在していない。
【目的】:妊娠早期における変数およびPROスコアを用いて、妊娠期および出産後の複数時点における周産期うつ病を予測するためのモデルの構築。
【方法】:前向きコホートデザインにて、参加者858名による妊娠4週-10週目での自己報告式の質問票(社会経済、既往歴、複数の精神的指標を含む)を用いて、産後3ヶ月にてフォローアップを実施した。主要アウトカムは妊娠期3ヶ月毎および産後2つの時点におけるEdinburgh Postnatal Depression Score (EPDS)で12以上のスコア(周産期うつ病の代理評価値)だった。5つの評価時点で12以上のEPDSスコアを予測できるよう、5つの勾配ブースティングマシンを学習させた。予測変数は3つのバリデーションされたpsychometricスケールから21個の変数を用いた。感度分析では、異なる予測変数のセットをそれぞれ分析した:i) 2つのpsychometricスケールから21個中17個の予測変数を用いた場合、および ii) 143個の社会経済および既往歴に関する追加の予測変数を用いて計164個の予測変数を用いた場合。
【結果】:本研究では、女性が妊娠4-10週間の間に、3つのバリデーションされたpsychometricスケールより構成された21個の設問にのみ回答することにより、周産期うつの個別化リスクを予測できる5つの予測モデルを構築した:PND-T1 (妊娠0〜3ヶ月)、PND-T2(妊娠4〜6ヶ月)、PND-T3(妊娠7〜9ヶ月)、PND-A1(出産後1)、およびPND-A2(出産後の遅発性発症)。C-statistics(AUC)は0.69 (95% CI 0.65-0.73)および0.77 (95% CI 0.74-0.80)だった。感度50%では全予測モデルにおいてpositive predictive valueが30-50%で、周産期うつ病の平均リスクの約2倍のリスクを保有する患者群を特定した。17個の予測変数を用いて学習させたモデルと164個の予測変数を用いて学習させたモデルにおけるモデルパフォーマンスは、21個の予測変数を用いて学習させたモデルと比較して改善しなかった。
【考察】:本研究で構築された5つの予測モデルは、早くて妊娠4週間での質問票への回答により、妊娠期3ヶ月毎(0~3ヶ月、4~6ヶ月、7~9ヶ月)および出産後2つの時点における周産期うつ病の発症を最小限に予測できた。これらのモデルを一般化するためには、外的バリデーションを得るのとともに、prospectiveに検証する必要性がある。
コメント
PROを個別患者の診療もしくはモニタリングを目的として診療現場に用いることは日本でも行われていると思われる。一方でPROを診療現場で用いる課題として一般的に、スコアの解釈や患者によって選択肢の距離感が異なるため個別化医療への活用として、スコアの解釈をどのように診療に反映するかが難しい、等が考えられる。今回の論文では、PROを含む患者の自己報告式質問票を一つ時点での活用に限らず、複数時点での周産期うつ病の予測のために活用しているのが特徴的である。予測モデルを構築することが、診療現場におけるPROの新たな活用方法の一つだと期待したい。また本論文でも指摘されているように、このような研究では予測モデルの構築では終わらず、構築した後に実際に診療現場でバリデーション・検証することが重要である。(ET)
<2023年3月 文献紹介>
A Standard Set of Outcome Measures for the Comprehensive Appraisal of Cleft Care
Title: A Standard Set of Outcome Measures for the Comprehensive Appraisal of Cleft Care
Authors: Allori AC et al.
Journal: The Cleft Palate–Craniofacial Journal 54(5) 540–554, 2017
https://journals.sagepub.com/doi/10.1597/15-292
【背景】:口唇口蓋裂患者では、整容(外見)、言語、飲食、社会適応面などの訴えを認める。また出生時から治療終了時まで、成長・発達を続ける。過去にもEurocleftなどの国際的なアウトカム研究が行われてきたが、さらに発展させていくには、標準化されたデータセットを収集することと、患者・家族にとって重要と考えられるアウトカムに着目する必要がある。本報告では、ICHOMによって策定された口唇口蓋裂用のstandard set of outcomesが紹介されている。
【目的】:口唇口蓋裂診療の全領域を網羅しつつ、医療資源の多寡にかかわらず世界中の多くの国・地域で持続的に収集可能で実用的な、standard set of outcomesの国際的なコンセンサスを得ること。
【方法】:4大陸・8ヶ国から28名の臨床医とデルファイ法の専門家などと、5名の患者・家族が参加した。2013年5月~2014年12月の間に7回のオンライン会議を通して、各アウトカムドメインごとの作業部会が協議のうえ草案を作成し、全会一致のもと最終版を作成した。アウトカム指標は可能な限り、医療者が評価したアウトカム(clinician-reported outcome)に加えて、患者報告アウトカムを指定するようにした。
【結果】:摂食、歯科口腔衛生、会話、耳科的な健康状態、呼吸、整容、心理社会、治療の負担感の各アウトカムドメインについて、評価タイミングおよび評価指標を指定した。
【考察】:本standard set of outcomesは、今後も継続的に更新されていく予定である。世界中の治療チームが標準化されたデータを収集することで、互いの結果を学ぶことができ、患者に提供する医療の質と価値を向上させることができる。
コメント
本文献は2017年と発表は少し古いものであるが、口唇口蓋裂診療における重要性を鑑みとりあげた。Standard set of outcomesとは、診療において収集することが推奨されるアウトカム指標であり、各疾患での策定が進められている。共通のアウトカム指標が収集されることで、施設間や国際的な比較が可能となり、メタアナリシスなどを通して、医療の質の向上が可能となる。ICHOMは、患者中心的なアウトカム指標を中心としたstandard set of outcomesの国際的コンセンサスを確立することをミッションとする団体である。
QOL-PROの観点から筆者が興味深いと感じたのは以下の3点である:①患者報告アウトカム指標として、口唇口蓋裂に疾患特異的な質問紙であるCLEFT-Qが、摂食、歯科口腔衛生、会話、整容、心理社会面で採用されている。②一方で、日本語版がまだないCOHIP、NOSEといった患者報告アウトカム質問紙が指定されている。③整容(外見)の評価では、これまでも規格化された写真をもとに複数人で評価する手法が検討されてきたが、検者間一致度が低く十分な信頼性がなかった。本setでは、整容は多分に主観的なものであるとの観点から、写真の記録は推奨されているがその評価方法は指定されておらず、患者報告アウトカムによる評価が指定されている。心理社会面だけでなく、整容性も究極的には患者本人でしか評価できないという考えが興味深い。
日本においては本setの認知度はまだ低い。今後も口唇口蓋裂診療において患者報告アウトカムを含めた本setの啓発が重要と考えられた。(HM)
<2023年2月 文献紹介>
EQ-HWB: 健康と幸福度(ウェルビーイング)尺度の開発及び鍵となる結果の概説
Title: The EQ-HWB: Overview of the Development of a Measure of Health and Wellbeing and Key Results
Authors: John Brazier, PhD, et al.
Journal: VALUE HEALTH. 2022; 25(4):482–491
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1098301522000833
【目的】:質調整生存年を推定するための既存の尺度の大半は健康関連QOLに限定されている。本論文では、健康と幸福度を包含する尺度であるEQ-HWB (EQ Health and Wellbeing)の開発の概説を示す。
【方法】:(1)概念枠組みによる質の保証された文献のレビューを通じたドメインの確立 (2) ドメインをカバーする項目の生成と選択 (3) 6か国(アルゼンチン、オーストラリア、中国、ドイツ、イギリス、アメリカ)の社会福祉の利用者、一般国民、及び介護者168人に対する質的インタビューを通じたこれら項目の表面妥当性(4)上記6か国の4000人の回答者に対する候補となる項目の計量心理学的テスト(古典的な因子分析および項目反応理論を使用)への拡張
【結果】:7つの高次のドメインにグループ分けされた計32のサブドメインが、文献から見出だされ、ドメインをカバーする97の項目が生成された。表面妥当性の検討により36項目が除外され、14項目が修正され、3項目が追加された。計量心理学的テストを行ったところ、64項目は欠測あるいは反応分布上の問題においてもほとんど差がなかった。概念モデルは中国を除いて確認され、ほとんどの項目については、項目反応理論上もすべての国で良好な結果を示した。エビデンスは2回の円卓会議においてステークホルダーに対して示され、最終的にEQ-HWB (25項目)および EQ-HWB短縮版 (9項目)に項目が選択された。
【結論】:EQ-HWB 尺度が、患者・社会福祉の利用者・介護者に影響を与える医療・公衆衛生・社会福祉の介入を評価するために、国際的に開発された。
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QALY(質調整生存年)のQに相当する部分については、本研究会でもそれをQOL値と呼んでよいのかという論争があったが、現状ではEQ-5Dという選好に基づく尺度がほぼスタンダードとして用いられている。しかしこれは健康状態(のみ)を評価するものであり、たとえばQALYを用いて医療資源配分をする場合に、その射程が狭すぎるという批判が絶えない。具体的には、社会福祉的介入を評価するのは困難であるし、なにより介護の問題が反映できない。そこで健康のみならず幸福度(ウェルビーイング)も同時に測定できる尺度の開発が行われたという経緯がある。興味深いのはその開発の過程で主体をなしたのはPPIE(patient and public involvement and engagement: 我が国でも注目を集めているPPIにさらにエンゲージメントが加わった概念)の団体である点である。この尺度開発自体はオーソドックスな手順を踏んで行われており、計量心理学的テストでも妥当な結果を示していることから、今後使用される可能性が高いと思われる。
誰もが考えつくのは、福祉系にフォーカスした既存の尺度(ICECAP(文中に言及あり)、ASCOT(言及なし)等)をEQ-5Dと併用してもいいではという点であるが、やはり健康と幸福度を同時に一つの尺度で測定できるというのが売りのようである。またライバルとなりそうなAQoL-8D(福祉的な側面もカバーできることで有名)については、35項目もあり答えにくいこと、およびオーストラリア一国のみで開発された経緯を指摘し、一蹴している。
QALYに用いることを想定していることから、現在価値づけ(Valuing)が準備されているようである。ただこの時点で、コーピングに関する項目で、他の項目(抑うつ、不安、消耗等)と逆転現象がおきていることから、それへの対応について議論が生じている。つまり、逆転は何らかの方法で修正すべきなのかあるいは、コーピングという重要な現象をそのまま反映すべきかという意見の対立である。これは本研究会でも取り上げられるQOLを測定することと価値づけることのギャップを反映している面もあり、今後の議論の行方に興味がもたれる。(SS)
<2023年1月 文献紹介>
Reducing waste in collection of quality‑of‑life data through better reporting: a case study
Quality of Life Research (2022) 31:2931–2938
https://link.springer.com/article/10.1007/s11136-022-03079-1
本研究は、選好に基づく尺度であるEQ-5Dの報告について、現状でどのように効用値が報告されているかを検討し、その状況を改善し研究の無駄を省くための戦略を提案したものである。本研究は冠動脈疾患患者を対象とし、EQ-5Dを用いて算出された効用値に関する論文のシステマティックレビューの一環として実施され、効用値とその十分な統計的詳細が報告されているかどうかを検討し、一部の論文のデータがメタ分析に再利用できなかった理由を検討した。研究の無駄は、(1)除外された論文の割合とサンプルサイズ、(2)報告不十分な論文のレビューに費やされた研究者の時間とコストとして定量化した。
研究者らの検索により5942件の論文が見つかった。タイトルと抄録のスクリーニングで93%が除外された。379の論文のうち130の論文がEQ-5Dを使用していることを報告した。そのうち46%(60/130)だけが効用値と統計的特性を報告し、メタ分析が可能であった。また、タイトルや抄録にEQ-5Dが記載されている論文は67%にとどまった。サンプルサイズとして133,298名分のデータが報告不足のため除外された。研究者の時間の浪費は、3816ドルから13,279ドルと推定された。
このようにEQ-5Dから得られた効用値のデータの不十分な報告は、潜在的に有用なデータがメタアナリシスや医療経済評価から除外され、研究の無駄を生み出す。そして尺度についての不十分な記載も、その後除外される系統的レビューのための論文のレビューに費やされる時間が増えるため、無駄を生み出す。
これらの研究の無駄を減らすためには、EQ-5Dを用いた研究では、メタアナリシスでの再利用や医療政策のためのより確かなエビデンスを得るために、適切な要約統計とともに効用値を報告する必要がある。他の研究者が見つけやすいように、現在の報告ガイドライン(CONSORT-PROおよびSPIRIT-PRO Extensions)に沿って、タイトルまたは抄録でHRQOL尺度を報告することを著者に推奨する。また、先行研究のカタログ化や検索性を高めるため、尺度についてMedical Subject Headings (MeSH)に記載することが望ましい。
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QALYsを用いた医療経済評価においてUtilityのデータは解析に必須であるものの、論文を検索しても有用な報告を見つけられず、mappingに頼らざるを得ない状況もある。この研究で推奨された基本的なUtilityの報告とガイドラインに準拠した論文化、適切なHeadingはわれわれが論文を書く際に意識すべきであることを再認識した。(T.I)